究極魔法研究会の実力は、試験教官のジークフリードが練習方法を教えてくれと頼むほどになっていた。

他の班に振り分けられたメンバーたちも、無事に訓練を終える。

普段の練習の成果を発揮できたようであった。

数日後、オーグは研究会のメンバーに魔人の新情報を伝える。

シュトローム率いる魔人たちは現在、ブルースフィア帝国領内の町や村を襲撃しており、その際、人間を魔人に変えながらその数を増やし続けているとのことだった。

魔人たちの勢力に対抗するには、数ヶ国の連合を組まなければならず、戦力が追いつかない王国軍は現在、その状況をただ眺めている他になかった。

シン以外の究極魔法研究会のメンバーは学院卒業後、オーグ直轄の特殊部隊に配属される予定だ。

もし魔人との戦闘が開始すれば、学生である今でも魔人討伐に駆り出される可能性がある。

勢力を拡大している魔人たちに対抗するべく、シンたちは夏期休暇を利用した強化合宿を行うことにする。

合宿はシシリーの領地である温泉街、クロードの街で行われ、これにはマーリンとメリダも保護者として参加することになった。

合宿に向かう途中、魔物としては中型であるオオカミの群れに遭遇したシンたち。

リンは、見事一人でこの魔物の群れを討伐してみせる。

「よそ様の子をこんなにしてしまって…」

メリダがあきれるほどに、魔法研究会メンバーの実力は上がっていた。

領主館に到着したシンたち。

使用人一同からシシリーを末永くよろしくと頼まれ、シンとシシリーは慌てふためく。

合宿は翌日から開始ということで、さっそく温泉を満喫する魔法研究会のメンバー。

湯船に浸かりながらマーリンは、シンの友人たちにお礼を言う。

魔法学院に入学するまでシンには同年代の友人がおらず、マーリンはそのことをずっと申し訳なく思っていたのである。

シンに心を許せる友人ができたことを、マーリンは心から喜んでいた。

逆に友人たちも、シンと出会えたことを感謝している。

シンからもあらためてお礼を言われたマーリンは、こらえきれず号泣してしまった。

女湯に入っているメリダもマーリンと同じことを感じており、魔法研究会の女性メンバーにも同じく感謝の気持ちを伝える。